上海モデルが中国中を席捲するのも時間の問題◆英語教育を止めて、習近平思想を幼い頃から叩き込む…恐ろしやぁ~
ジャック・マーが不本意に言ってしまった、
中国共産党にとって都合が悪い真実、
愚民政策をさらに前進させる共産党、
なぜ最近習近平が謎なことをやり続けるのか?
チャンネルのメンバーシップにつ
中国共産党にとって都合が悪い真実、
愚民政策をさらに前進させる共産党、
なぜ最近習近平が謎なことをやり続けるのか?
チャンネルのメンバーシップにつ
Harano Times 2021/08/10
皆さん、こんにちは。今回の動画は2部構成になります。前半ではいつもの様にニュースの紹介をします。後半では、私がこのチャンネルを始めた切欠やチャンネルのメンバーシップの話をします。宜しくお願いします。
先日の動画で習近平が塾に対して厳しい制限をかけ、中国の大手教育関連企業の株がほぼ消えてしまい、この業界で沢山の失業が出ている事について、皆さんに紹介しました。
習近平がその様な事をする理由の1つは、共産党が教育を完全にコントロールして、子供が他の思想と接しない様にする為だと皆さんに紹介しました。
早速、上海の教育委員会は2021年の教育計画を発表しました。その新しい教育計画で明確に小学生の期末テストに英語のテイストをしないと決めました。
又、上海の教育委員会が審査していない海外からの教材を使ってはイケナイ。学外の教育機関は海外の教材を使ってはイケナイ。外国籍の教師を起用してはイケナイ等のルールを決めました。
勿論、他のテストの回数を減らす等のルールの改訂もありましたが、この英語の部分が1番注目を集めています。
このルールの改訂は外部にどんなメッセージを出しているかというと、そこ迄、沢山の人が英語を勉強しなくてもよいというメッセージです。
中国共産党が改革開放してから、英語の勉強を始めた人が増えて、2000年以降ぐらいから英語を勉強する人口が爆発的に増えました。
又、英語は中学校受験から大学受験迄、その後の大学院の受験でも必須の項目になりました。だから中国の教育システムの中で英語教育はとても重要な項目になります。
又、テストに出るから英語の勉強をするという学生もいます。しかも大半を占めています。
上海は国際化という視点で見た場合、中国の最も大きな都市です。ですので、上海の様な都会でも英語の教育を軽視しはじめるなら、他の地域でも同じ様な動きが起きるのはもう時間の問題です。上海は他の都市のサンプルになります。
教育は教える内容、教える方法、又は先生、学校、教育関連組織等の学生に対する態度・姿勢と関係します。
又、現代社会に於いて、教育には公平性、広域性も重要になります。この視点で見ると、今回のルール改訂は教育を良くする為の改革ではなく、中国共産党が最近出した政策を見て、上の人の意向に合わせた事である。又は上の人が上海を全国のサンプルにした事に過ぎないです。
英語とは何かというと、英語は世界と繋がる為のツールです。ここで特に英語、その言語が優れている等を言いたいワケではなく、今、英語はこの世界で最も広範囲に使われている言語ツールであるからこそ、それを勉強する人が多いです。
世界中の多くのパソコンはWindowsだからWindows向けのソフトが多いのと同じ理屈です。だから英語は橋であって、世界と繋がりを持ちたいから、英語の勉強をする人が多いですね。
庁学校で英語を勉強する事が学生の将来の英語力にどれ位の影響力があるかについて、人によって意見が分かれる部分がありますが、でも小学校で英語を勉強するということは、中国の様な国にとって開放的な態度があるかどうかの証で、中国人にとってもう1つの出口になります。
中国でやっていけなかったら、英語が出来ると他の国に行き易いというマインドを持つ人が多いです。
今回、上海が英語教育のルールを変えた後、アリババの創始者ジャックマーが過去言った話が再度人の注目位を集める様になりました。
彼は、私の様な人にもし英語じゃなければ、私が受けた教育の中で、学校が私に何が正しいかを教え、両親が私に何が正しいかを教えてきた。英語ができた後に、彼らが言っている事は全部正しい(ワケでは)ないと思い始めた。
我々は自分の頭で考えないとイケナイ。1985年私は初めてオーストラリアに行った。オーストラリアに行く前に中国は最も裕福な国だと思っていた。何故なら、我々が子供の時から受けてきたのは、我々は全人類を解放しないとイケナイという教育だったからだ。しかしオーストラリアに行って、彼らが我々を解放すべきである事を知ったと言った事があります。
皆さんもご存じだとは思いますが、ジャックマーは英語の先生でした。ジャックマーのこの話から、英語は世界と繋がる橋だけではなく、真相を探求する、嘘に気付く道具になっています。
ジャックマーにその様な経験があるので、中国の他の人も彼と同じような経験をする可能性が十分にあります。
実は中国で、全員が英語の勉強が出来る様にするのは間違えた政策であると思う人もいます。その理由は多くの中国人留学生が海外へ留学に行きますが、結局、中国に戻る人は、その半分位です。つまり中国が育てた人材が海外に残ってしまいます。
中国の最も有名な大学「清華大学」と「北京大学」から毎年かなりの大学卒業生がアメリカを始めとする先進国へ留学に行きます。2017年のデータによると、北京大学・清華大学の卒業生の30%位が海外留学に行きます。
留学に行った学生の3割位が中国に戻らないです。中国のコネや体育枠等で有名な大学に入った学生以外の多くの学生の基礎学力は比較的シッカリしています。
勿論、共産党の変な教育を受けている部分もありますが、理系の場合の基礎学力はシッカリしていますので、英語がチャンと出来れば海外の大学院に行き易かったです。
それらの学生は中国共産党に利用される様になってきたので、今は世界各国が制限をかけ始め、一部の学生が留学出来なくなりましたが、それでも学生としては、海外に行きたいと思っている人がかなり多いです。
そうなると、中国共産党から見て、自分が育てた学生が海外に行って、海外に残って、海外に貢献する。場合によって、その中の一部の学生は反中国共産党の勢力になってきます。
そうなると全員が英語を勉強して、学力を上げる事は中国共産党にとって、完全に良い事だと言えないです。
一部の人がシッカリ英語を勉強して、その一部の人だけが海外に行って、先進な技術を持ち帰れば、それで十分です。
過去、中国共産党がソ連に留学生を送ったのと同じ事ですね。勿論、今の時代でそこ迄極端な事をするのは難しいですが、長い目線で見て、今のまま行くと、そうなる可能性が高いです。
パスポートの発行を止めて、国民を海外に行かせるのを止めた後に、英語の教育まで弱くすると、自分の国民に、もう外に行かなくて良いというメッセージになります。
もし、今回上海で行われたこのルール改訂に上海の親たちが反対しなければ、この動きは中国全国に拡がって、中国の今後にかなり大きな影響を与えます。
それ以外に、中国の民間で作った私立学校に対するコントロールを強化し始めました。この話は前からあった話ですが、最近、一気にその動きが加速してきました。
河南省のある私立中学校は政府に寄付される事になりました。これから中国の私立学校は徐々に公立学校に買収合併されていく可能性が高いです。そうなると今後、中国にある国際学校まで影響を受けるかもしれません。
英語のテストを減らして、学生の負担を減らすと言っている中国共産党は逆に習近平思想の勉強を小学校の教育に入れました。
英語の勉強を進めない。パスを出さない。それで学校の授業に習近平の思想を入れる―これは国民を出来るだけ海外に行かせず、中国に残らせて、中国のコントロール下に置く傾向です。
では、習近平は何故この様な事をするのか?この事と先日私が皆さんに紹介した7つの大罪の話。習近平が中国国内の一部の産業に手を出す事等を合わせて見ると分かり易くなります。
実は習近平がこの様な事をする理由は、彼が今感じているプレッシャーに対する対応策であるという見方があります。私もそう感じています。
今、習近平が感じている最も大きなプレッシャーは、これから国際社会から来るコロナの責任追及です。この責任追及が起きる可能性が高くなっている今、中国共産党は先ず、先に責任をアメリカ等の国に押し付けます。
アメリカが責任を追及すると、自分の同盟国と連合してやる可能性が大きいので、共産党が7つの大罪の中で、アメリカと同盟国を一緒に批判したのはその為です。
中国人に中国は海外諸国から根拠なく睨まれている。中国は悪くない。海外が悪いという思想を植え付けて、それと同時に習近平が中国のリーダーというイメージを強化する。
これがシッカリ出来れば、中国は本当に海外から制裁を受けた時、多くの中国人はやはり中国は外国から睨まれている。だからリーダーの周りに集まって、海外と対抗しないといけないという心理になります。
ですので、最近習近平がやっている謎な事を繋げて考えると、彼が何を考えているかが少し見えてきます。
しかし習近平には毛沢東の様なカリスマ性が無いですし、又、この数十年で外の世界を知ってしまった中国人が増えていますので、どこ迄、中国人を自分の周りに集められるかという問題もあります。
勿論、洗脳にもかなり力がありますので、その洗脳の効果も無視できないです。その時、どうなるかは、皆さんと一緒に見ていきたいと思います。今日のニュースの部分は此処までになります。
これからは、ニュースと関係ないチャンネルのメンバーシップの話をしますので、ニュースのみを聞きたい方は、此処で切っても大丈夫です。
多くの方は既に気付いていると思いますが、3ヶ月前位にチャンネルのメンバーシップを始めました。告知もなくコッソリ始めたにも関わらず、沢山の方がメンバーになって頂きました。本当にありがとうございます。
メンバーになって頂いた方と他の方には何故私がこのメンバーシップを始めたかについて説明する必要があると思いましたので、ここで、私が何故このチャンネルを始めたか、何故、メンバーシップを始めたかについてお話したいと思います。
私がこのチャンネルを始めたのは約1年半前です。その時、日本のテレビやマスコミでの中国に対する報道を見ていると、私が知っている中国、中国共産党のイメージと違いましたので、違和感を感じた事がありました。
又、丁度、中国でコロナが始まりましたが、当時の状況があんまり報道されていなかったです。それでYoutubeであんまり日本語での政治関連の内容を見た事がなかった私がYoutubeで調べた後出会ったのは実はDEEP MAX妙佛さんでした。
このチャンネルを見ている方は、勿論、妙佛さんの事を知っていると思います。彼はよく中国の真実について話をしているし、しかも日本を中国共産党から守る視点で話をしていました。
だから私も彼の様に、中国共産党の事を拡散して行きたいと思いました。それが私がこのチャンネルを始めた切欠です。
又、その時、アメリカと中国の関係性を追っていて、今後、米中冷戦になると思っていましたので、このチャンネルで米中関係、中国共産党と中国の政治経済関連の話を取り扱おうと思いました。
途中で、仕事の関係上、半年位更新できず、本格的に再開したのは去年の9月位になります。
その後に、あのアメリカの大統領選挙があったので、その話題が暑かった事と、及川さんを初め、沢山の面識もないYoutuberの先輩たちの応援もあって、チャンネルのフォロワーが増えました。
今、このチャンネルに17万以上のフォロワーがいますが、その10万以上は私の実力という依り、先輩たちの紹介です。それには感謝しかありません。
チャンネルのフォロワーが増える事によって、チャンネルの収益化も出来ました。
一時このチャンネルの上に重心を置いて、もっと力を入れていきたいと思った時期もありました。しかし、このトピックに対する規制が強くなって、段々動画もよくバンされることになったので、それを断念して、仕事をしながら動画がバンされない様に穴を潜りながら動画の更新を継続しました。
Youtubeの広告費ではなく、他の収益でチャンネルの運営が出来るかもしれないと思い始めたのは、あるかなり前から私の動画を見てきたフォローさんから、私のチャンネルで広告を出したいという話が来た時です。
その方は和菓子の文化を守る。和菓子をもっと広げたいと考えていて、日本で和菓子のチェーン店を始めたいので、このチャンネルで広告を出したいと連絡してきました。
その時、私は自分の名義で広告費を頂く準備も出来ていなかったし、彼を応援したいと思いましたので、広告費無しでチャンネルの説明欄で紹介文を掲載しました。
最終的に彼の店舗の開業に未だ少し時間が必要になり、まだ実店舗が無い為、ビジネスの実態が確認出来ないので心配という他の一部のフォロワーさんからの意見もあったから、その広告文の掲載を止めました。
又、チャンと開業出来たら掲載してあげたいと考えています。その件があった後、自分のチャンネルで広告を出したい人がいる可能性を知りました。Youtubeの広告収益に頼らず、中小企業の広告を出してスポンサーのシステムでチャンネルの運営が出来るかもしれないと思いました。
中小企業が広告を出す事が出来て、私もYoutubeの広告に頼らず、チャンネルの運営に時間を掛ける事が出来ると思いました。
その後、他の会社から、そういう話もなかったので、未だそのシステムの構築が出来ていません。勿論、私がその宣伝をしなかった事もあるので、機会があれば紹介して、その可能性を探ってみたいと思います。
それでYoutubeの広告に頼らず、チャンネルの運営が出来る可能性を考えている内、思いついたのはメンバーシップです。メンバーシップを開設すると、メンバーにどんな特典を出すかを選ばないといけないです。
私がこれ以上、特別な内容を出す能力が無いので、その特典の中にある私が出来そうな事を優先的にコメントの返信を選んでメンバーの方の名前につくHaranotimesのアイコンを作って、メンバーシップを開設しました。
それはあんまりにも価値がない特典で、忙しくなるとシッカリ返信出来ない事も多いので、単純な応援メンバーシップになっていました。だから告知もせず、コッソリ始めました。
それでも沢山の方がメンバーになって頂いた事はとても有難い事です。最近、メンバーになって頂いた方に感謝の気持ちをこめて、自分の原稿をメンバー限定で公開する事にしました。
他のYoutuberさんと違って、私は自由に正しく話す自信が無いので、いつも原稿を書いてから、読んで録音しています。
今迄、その読み終わった原稿を捨ててきました。でも、考えてみると、文字で見たい方も居る筈ですので、最近、メンバー限定で公開しています。
又、動画を作成した後、スケジュールを設定して公開する事が多いです。でも、原稿は動画の作成が終わった後、すぐシェアする様にしていますのでメンバーの方は、動画が公開する前に原稿を見ています。
これは或る種のメルマガと思うと、メンバーシップの特典として使えるかもしれないと思い、今回此処で皆さんにメンバーシップの事を紹介しようと思いました。
メンバーシップの応援額は百円台から5段階になりますが、どの段階のメンバーも同じ様に原稿を見る事が出来ます。ですので、百円台でメンバーになれて、それ以上応援したい方は他のレベルのメンバーになって頂くシステムになります。
勿論、いつでもメンバーをやめる事が出来るし、レベルアップ、レベルダウンする事が出来ますので、制限がありません。
最近、動画に字幕をつける努力をしていますが、やってみると結構時間が掛かる事もあって、今後はメンバー限定で原稿を公開する事にシフトしていきます。
勿論、メンバーじゃないと文字版で見えないワケではありません。動画の説明欄にズッと掲載していますが、かなり前から、あるフォロワーさんが、私の動画の文字起こしをしていて、ブログにしています。
私のほぼ全ての動画をカバーしているし、他の内容も入れて、分かり易くしている事も多いので、メンバーになれないが、文字で見たい方は、是非、その方のブログを御覧下さい。
過去の動画でも話をした事がありますが、私がこのチャンネルを始めた理由の1つは私が見ている事実を紹介する事ですので、多くの方が拡散してくれた方が助かります。ですので、私が作成した内容に著作権が無いです。
動画を文字にして拡散して頂いても全く問題ありません。私が動画を公開した後に、メンバーの方が原稿を他の所に引用しても全く問題ないです。
1点だけお願いしたいのは、Haranotimesと記載して頂く事です。チャンネルの運営の為に、Youtubeの広告に頼り過ぎない対策を色々考えて、これが今、私が思いついた方法でしたので、今回、この場を借りて皆さんに紹介しました。
もし百円台でメルマガを購入した気分でチャンネルメンバーになりたい方がいらっしゃれば是非、ご検討下さい。勿論、メンバーが多くても、少なくとも、今後も変わらず配信していきますので、引き続き宜しくお願いします。
ニュース以外の話について長々と話してしまいましたが、最後迄聴いて頂いてありがとうございます。では、又、次回お会いしましょう。
オマケ:英語廃止や習近平思想導入に関連する記事
中国で唐突にぶちあがった英語教育廃止論
樋泉克夫 (愛知県立大学名誉教授)
2021年3月10日
2021年3月10日
3月5日、北京で全国人民代表大会が開催された。習近平国家主席は同大会の内モンゴル代表団部会に出席し「民族団結」を説き、「国家で通用する言語文字工作をしっかりと普及させると同時に、中華民族としての共同体意識教育を広めなければならない」と強調したと伝えられる。内モンゴルにおいて漢語(中国語)教育を徹底させ、モンゴル族意識の希薄化を狙った強引な漢化策――文化的ジェノサイド――と言うべきだろう。
ここまで「中華民族としての共同体意識教育」を声高に叫ぶ背景には、あるいは一強体制ゆえの〝漫然とした先行き不安〟が隠れているようにも思える。
(klerik78/gettyimages)
言語教育による強引な提言と言えば、全国人民代表大会と同時並行で開かれている全国政治協商会議委員で民主諸党派のひとつとして知られる九三学社中央委員の許進のそれである。彼は4日、「義務教育段階での英語など外国語教科を語文(中国語)や数学などと同等の主要教科から外し、音楽、体育、美術の『三小科』などの情操教育教科の比率を増加させよ。英語など外国語を大学入試科目から除外し、義務教育段階での外国語民間試験の受験を禁止せよ」と主張した。
九三学社の前身は、日中戦争時に反日の立場を鮮明にした教育・医学・科学技術者などが結成した「民主科学座談会」である。東京湾に浮かんだ米戦艦ミズーリ号甲板で日本政府が降伏文書に調印した9月2日の翌日を戦勝記念日とすることから、九三学社と命名したとか。
1949年9月21日に開かれ、中華人民共和国建国を決定した第1回中国人民政治協商会議に中国国民党革命委員会、中国民主同盟、中国民主建国会など民主諸党派と呼ばれる8つの政治勢力のひとつとして参加している。だから中華人民共和国建国の一翼を担っていたわけだ。共産党の独裁体制下では「名存実亡」といった存在で、共産党の「衛星政党」との見方もある。とはいえタテマエの上で民主政治を掲げる共産党にとっては、タテマエの上ではあれ、やはり必要不可欠の政党と言えるだろう。
そのような九三学社の中央委員である許進が、なぜ、唐突に英語教育廃止論をぶち上げたのか。彼は、①英語は全教科時間の10%程度に過ぎず、②大学卒業生にしても英語を必要とする者は10%足らずであり、③英語教育の時間を情操教育科目に割り当てるべきだ――と、その理由を挙げる。
これに対し、「国際的貿易言語である英語教育を廃止することは、自分で自分の首を絞めるようなものだ」「役立つか否かで教科を選択するなら、日常生活では役に立たない関数も、方程式も、古文も教育を止めるべきだ」などの反論がネットに投ぜられた。
わが国でも英語教育の是非、小学校から大学まで英語教教育の在り方まで、中国と同じような議論が繰り返されている。だが許進の説く「英語教育不要論」には、別の狙い――アメリカに対し対決姿勢を強める習近平政権に向けた〝忖度〟――があるように思える。
たしかに日本でも「鬼畜米英」が叫ばれた太平洋戦争時、英語を「敵性言語」と見なした時期があった。だが、そのことが対米戦争遂行上にどれほどの効果があったのか。大いに疑問である。であればこそ日本の経験に照らし、許進の主張の小児病性を退け、英語教育を継続すべきことを、老婆心ながら中国政府に〝忠告〟しておきたい。
そこで手始めに、以下を提案したい。
「打倒美帝国主義(アメリカ帝国主義打倒)」が国是であった当時の『簡明英語語法』(湖北省中小学教学教材研究室編、湖北人民出版社、1973年)を教科書にしての英語教育の徹底である。
書名に示されているように、同書は正真正銘の英語文法解説書である。
名詞からはじまり、冠詞、代名詞、数詞、形容詞、動詞、副詞と文法が簡単明瞭に解説されているが、出版時期の政治状況からいって、単なる文法解説書で済むはずがない。やはり徹頭徹尾、終始一貫して社会主義の優位性を訴える。
であればこそ興味深い例文が満載だ。以下に数例を挙げておく。なおカッコ内は、英文の中国語訳を改めて日本語に訳したものである。
■冠詞Theについて
Down with the landlord class!(地主階級を打倒せよ)
People of the world、unite! (全世界の人民、団結せよ)
次に「固有名詞、物質名詞、抽象名詞の場合に冠詞は不要である」と説明し、
I love Tien An Men in Peking.(私は北京の天安門を愛する)
Imperialism、revisionism and all reactionaries are paper tigers.(帝国主義、修正主義と一切の反動派は張子の虎である)
■疑問代名詞
What is work? Work is struggle.(なにを工作と呼ぶのか。工作とは闘争である)
■形容詞
Chairman Mao is our great teacher.(毛主席は我われの偉大な導き手である)
The sea is deep、but our love for Chairman Mao is deeper than the sea.(海は深い。我われの毛主席に対する熱愛は海よりも深い)
■動詞
――過去形の一般例として、
The October Revolution in 1917 brought Marxism-Leninism to China.(1917年の10月革命は中国にマルクス・レーニン主義をもたらした)
――動詞不定形では、
To serve the people is our happiness.(人民に服務することは、我等の幸福である)
――未来形では、
Imperialists will be imperialists:they will not change their aggressive nature.(帝国主義者はとどのつまり帝国主義者であり、彼らの侵略性が改まるわけがない)
■副詞
Socialism will certainly triumph over capitalism.(社会主義は資本主義に必ず勝利する)
■willの用法。「willは決心、決意、意志を表す」として、
China will never be a superpower.(中国は断固として大国にはならない)。因みに、これは毛沢東の発言である。
革命的で激烈な例文は際限なく続くが、いささか辟易としてきたので、この辺で切り上げるが、教育内容もさることながら、やはり興味深いのは、同書出版の時期だろう。
同書が出版された1973年はニクソン大統領の電撃的な訪中の翌年に当たる一方、毛沢東原理主義を掲げる四人組が影響力を強めていた頃だ。アメリカと手を組むのか。それとも文革路線を堅持するのか。政治路線を巡って極めて微妙の時期だったに違いない。
はたして一石二鳥式教育で革命と英語を同時に学ばせようとしたのか。英語教育を奨励することでアメリカを徹底研究しようとしたのか。それとも中国人一般が持つアメリカへの素朴な憧憬、無条件に近いアメリカ好きを刺激し、英語をエサにでもしないと若者の革命離れを食い止められないとでもいった危機感から、苦肉の策として出版されたのか。いまとなっては不明だ。
とはいえ「Only socialism can save China」との『簡明英語語法』の結語は、現在の中国に対し強硬姿勢を固める欧米諸国を前にした習近平政権の基本姿勢にピッタリだろう。
『簡明英語語法』が出版された1973年に、1953年生まれの習近平国家主席はちょうど20歳を迎えていた。はたたして習近平青年は『簡明英語語法』を熱心に学んだのだろうか。
鎖国の準備? 上海の小中高校で習近平思想を必修科目に、小学校では英語の試験を廃止 黄大仙のブログさん2021-08-09
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