経済制裁が効果を発揮して1日でも早く戦いに幕がおります様に…

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ロシアの金本位制は長持ちするのか?
経済制裁に対するロシアの対策の効果は?

Harano Times 2022/04/12




皆さん、こんにちは。お久しぶりです。この前は色々あって更新が不安定でしたが、これからはいつものペースに戻りますので、宜しくお願いします。

かなり意見が割れた独裁者に関する前回の動画に集まった皆さんのコメントを見て、本当に勉強になりました。いつもありがとうございます。

気のせいか、他のチャンネルに集まっているコメントより、このチャンネルに集まっているコメントの質が高い気がします。自分の意見と違う意見があっても、新しい気付きを得て、勉強になる内容が多いです。

今日の動画の最初にその動画に集まった代表的なコメントについて話をしながら、補足説明をしたいと思います。

先ず独裁は悪ではない。独裁者であっても人徳があるなら国をよく統治出来る。国民も不幸にならないというコメントを頂きました。この事について、私もその動画の中で話をしました。

前回の動画で、過去、国王や君主が完全に権力を握っても、社会は繁栄した例がある。でも、それには人に頼る部分が多いので、問題が起きやすいと言いました。

この話の中で私が思う重要な部分は人に頼る部分が多いので、問題が起きやすいという点です。

1人、又は少人数の集団が権力を握る社会が繁栄する例がある事は否定出来ません。歴史事実として例が沢山あります。でも、その人は何れか権力の座から離れます。

では、後継者は同じ様に人徳がある人なのか?勿論その可能性も有りますが、何れか人徳が無い人がトップに立つ時が来ます。その時、その国の運命、国民の運命は、その人徳がない、且つ絶大な権力を持つ人の手に落ちてしまいます。

ですので、独裁制度ではいつか問題が起きると思います。独裁制度の悪は普遍的な問題で、人徳がある独裁者は、その普遍的な中に存在する特例だと考えています。

或る方から、今回の話は民主主義対独裁主義より、法治主義対人治主義の説明に聞こえるというコメントを頂きました。そのコメントを見て、前回の動画にこの法治と人治の話を入れるべきだったと思いました。

独裁制度は基本的に人に頼る制度です。勿論、どの政治も基本人に頼る政治ですが、制度で人を制限出来る政治が良いと思います。人間が変わらなければ、人に頼る制度はいつか失敗すると思います。

それ以外、民主主義も良くないという意見を沢山頂きました。その動画で何回も話をした様に、民主主義は完璧なモノではなく、常に改善されるべき政治制度です。目的は良い政治で、民主主義は手段です。

それは完璧な手段ではなくても、今の所、人間の尊厳と自由を最大限尊重する制度になっています。もし良い政治を保障出来る制度なら、民主主義ではなくても、その土地に合う良い制度であれば問題ないと思います。

前回の動画で民主主義は良いという話をしたのは、他の政治制度を否定したワケではありません。良い政治を実現出来ればそれで良いと思います。但し、独裁制度について、私は今のところ自分の意見を変える事はありません。

良い独裁者が生まれる可能性に着目して、いつか失敗するという普遍性を無視してはイケナイと私は考えています。

完璧ではない民主主義や他の制度に失望したからと言って、それを改善する努力を放棄して、独裁制度に自分の希望を託す人は本当の意味での独裁国家、つまり独裁の普遍性に勝てていない国で一定期間生活した事が無い人か、独裁制度について認識が甘い人である可能性が高いのではないかと私は思います。

勿論、独裁制度に何か新しい可能性を見出している方もいらっしゃるかもしれませんので、是非、ご見解をコメント欄で皆さんとシェアして下さい。では、今日の話に入ります。

3日位動画を更新していませんので、何処から始めれば良いのか、色々悩みましたが、今回は最近話題になっているロシアの金融政策について話をしたいと思います。

戦争が起きた後、ロシアはかなり厳しい経済制裁を受けました。ビザ、マスターカードの制裁はロシア国内で、そこ迄効果を発揮していないという話を皆さんに紹介しました。

しかし経済制裁を全体として考える場合、ロシアに与えているダメージはかなり大きいです。戦争が始まった後、ロシアのメインの銀行はスイフトシステムから排除されました。

でも、その制裁は或る逃げ道を残しました。それはロシアから石油を購入する際、決済機能を果たす銀行をスイフトシステムから排除しませんでした。

因みにスイフトシステムは国単位ではなく銀行単位での会員制システムですので、国全体ではなく、銀行毎に個別対応が出来ます。ですので、1つの銀行をエネルギーの取引の為に生かしています。

制裁が始まった後、ロシアの通貨が暴落し始めました。その状況で通貨価値を維持する為に、ロシアの中央銀行は利率を20%迄上げました。この事は未だ皆さんの印象に残っていると思います。

それ以外、最近ロシアは通貨価値を維持させる為に、3つの対策をとりました。その1つは、ロシアの外貨債務をルーブルで支払う事です。しかしロシアの債権者にとって、それは受けられない事です。ドルを貸して通貨価値が非常にツ安定になっているルーブルを受け取りたい筈がありません。この対策は欧米各国の反対によって失敗で終わりました。

2番目と3番目の対策は少し効果がある様に見えます。2番目の対策は、敵対国に入っている国がロシアからエネルギーを購入する時、ルーブルを使わないとイケナイという対策と、3番目のルーブルとゴールドをリンクさせる事です。

この2つの対策の結果はどうなっているのか?この2つの対策を出してから、確かにルーブルの価値が増えて、1ドル当たり80ルーブルという戦争前の為替レートに戻りました。

この結果を見て、ロシアの経済対策は成功したと考えた方も多いです。しかし本当にそうでしょうか?

この2つの対策は一時的にロシアの経済が良さそうに見せる一時的な対策に過ぎないと考えています。長続きする対策ではありません。

先ず、ロシアは敵対国がエネルギーを購入する時はルーブルを使うと決めました。簡単に言うとロシアに対して経済制裁を行った国はルーブルでエネルギーを買わないとイケナイという事です。

この事は何故ルーブルの為替を支える事が出来るのかを簡単に説明すると、外国がロシアからエネルギーを購入する時、先にユーロやドルでルールを購入してから、そのルーブルでエネルギーを購入しますので、買われるルーブルの価値が上がります。

ロシアのこの対策にどう対応するかについて、EU内部では分裂が起きています。ハンガリーはロシアからルーブルでエネルギーを購入する事に同意しました。EU内部で全員一致でロシアに対して対策をとる事が出来ないので、各自対応する事になります。

EUは短期間でロシアからエネルギーを購入する体制を変える事が出来ません。つまりこれから彼らはドルやユーロをロシアの制裁を受けていない銀行に振り込んで、そこでユーロ・ドルをルーブルに換えた後、エネルギーを購入します。

この流れを見れば分かりますが、元々、ユーロやドルでエネルギーを購入してきたEU各国は、同じ額のユーロやドルを1回ルーブルに換えてエネルギーを購入する事になりました。

つまり途中で手続きが1つ増えて、ロシアが実際に入手出来る外貨の額に変わりがありません。ロシアがどれ位の外貨を稼ぐ事が出来るのかは、ロシアが」販売するエネルギーの量次第です。

これから天気が暑くなるにつれて、EUが購入するエネルギーの量も減ります。つまりロシアが獲得出来る外貨も減ります。

ロシアは外貨を必要としないと考える方もいらっしゃるかもしれません。それは違います。いくらロシアはエネルギー原産国と言っても、他の全ての工業品を自分で生産出来るワケではありません。

例えば先進の半導体、一部の飛行機のパーツ等は輸入に頼っています。もし、ロシアがそれを輸入する場合、ドルやユーロが必要です。どの国も通貨価値が不安定になっているルーブルを受け取りたくない筈です。ロシアと関係が良さそうに見える中国もルーブルを受け取りたくないです。

又、忘れてはイケナイのは、今の制裁でロシアが自由に自分が買いたい物が買えるワケではありません。ですので為替を安定させる事が出来たとしても、貿易面での制裁の問題を解決する事が出来ません。

ロシアのこの対策の根本にあるのは、エネルギー資源を武器にして、相手を制限するという戦略です。でも、この様なやり方は短期間で効果があっても、いつか相手は新しい代替のエネルギーに切り替えるか、新しいサプライヤーに頼れる事になります。

エネルギー・食料という様な重要な物は敵に制限されてはイケマセン。今回の事を経験してから、その重要性に気付いた国も少なくないでしょう。

もし、ロシアのエネルギー輸出という最も大きい稼ぎ柱が弱くなってしまうと、ロシアの経済がかなり打撃を受けますし、戦争を継続する力も弱くなっていきます。

これから各国が自分のエネルギーの供給を如何に早くアレンジ出来るかが戦争を止める重要な要素の1つになります。

此処迄はEUという言い方を使いましたが、他の敵対国も同じ事をする可能性が高いです。便宜上纏めてEUと言いました。

今、ルーブルはロシアの中央銀行の制限を受けていますので、自由に交換する事が出来ません。つまり今のルーブルの価値はマーケットが決めた価値ではありません。

ルーブルの本当に価値はどれ位なのか?それの正しい参考基準は今のブラックマーケットの価格です。約1週間前の報道で、ロシアのブラックマーケットの為替は1ドル当たり150ルーブル位でした。現在のオフィシャルな為替は80ルーブル前後になりますので、その差は明らかです。

ブラックマーケットの為替は常に変わっていますので、今はどれ位になっているのか、私も把握していません。

最後にロシアの金本位制度について話をします。ロシアは1gの金=5千ルーブルという固定レートを設定しました。この金本位の話を聞いてから、国際金融資本が嫌いな方の中で、ロシアのこのやり方は、今の国際金融制度を破壊する事になると喜んでいる方もいらっしゃいます。

その気持ちは理解出来ますが、残念乍ら、その可能性はかなり低いです。ロシアのこの金本位制度は短期間1~2ヶ月で効果を発揮する可能性が高いですが、長期間維持する事は出来ません。

金で通貨価値を維持出来るなら当時のブレトンウッズ体制は崩壊しませんでした。その金本位制度が崩壊した事に色々理由がありますが、その内の大きな理由の1つは、70年代以降、大量の商業取引の需要が生まれて、それに大量の通貨が必要になった事です。

商業取引が増えれば、それにマッチする量の通貨が必要です。しかし金本位の場合、金の量は一定で、それとリンクする通貨の量も一定になってしまいます。

取引が増えたのに、通貨が足りないとデフレを引き起こします。デフレになると経済の発展もダメージを受けます。つまり金本位は現代社会に合わない制度になってしまった為、そのシステムをやめて、各国が自分の必要に応じて通貨を発行する事になりました。

ではどれ位の通貨を発行する必要があるのか?今、各国が基本的に使っている手段は重要な経済指標に基いて、社会で流通する通貨の量を調整する手段です。

ロシアの金本位の話に戻ると、ロシアは今迄ゴールドを買い溜めていた。ゴールドがルーブルを支えるから問題ないと考える方もいらっしゃいます。しかしそれは長続きしません。

ロシアは今の主権貨幣から過去の金本位に後戻りしました。今の時代に合わない金本位は長持ちしません。短期間でドルやユーロを使って、ルーブルを買った後、そのルーブルでゴールドを購入する取引が増える筈です。

何故ならルーブルとゴールドは固定レートになっている為、ルーブルで購入するリスクが低いからです。その間ルーブルが買われて、ルーブルの価値が上がります。しかしロシアの金の量にも限度がありますので、売れば売る程、金が減り、ルーブルを支える事が出来なくなります。

結局、ロシアの金本位が崩壊します。そしてルーブルとゴールドがデカップリングして、ルーブルの価値が暴落します。

では、ロシアがゴールドを売らなければ良いじゃないかという意見も出ると思いますが、ロシアがゴールドを決めたレートで売らなければ、結局、実質、そのリンクが存在しない事になりますので、同じ結果になります。

それ以外、ルーブル石油という体制は既存のドル石油の体制を崩壊させるという意見もあります。しかし、これも今起きる可能性は低いと思います。

通貨の本質は信用です。もし、今のアメリカの制度が極めて不安定になり、国力が弱くて侵略されそう…ドルがいつでも白紙になる可能性があるなら、いくらドルを持っていても意味がありません。

確かにバイデン政権はアメリカをゴチャゴチャにして、アメリカの国力を弱くしていますが、ドルが完全に弱くなる所まで来ていません。或る国の通貨が信頼される前提は政治の安定、強い国防と経済の繁栄です。これらは今迄ドルが強い1位を構築出来た前提条件です。

今、アメリカは色々やられているとは言え、ロシアのルーブルに取り替えられる所まで来ていません。今回の戦争後、世界の情勢が変わり、ドル石油という体制が他の体制に変わる話もありますが、今回の話題とは関係ないので、又、別の機会があれば紹介します。

今の所、私は自分の主張を変えていません。ロシアの経済は今回の経済制裁でかなりダメージを受けます。この制裁が継続すると、ロシアの経済は数十年後戻りする事になり、国力が低下する事になってしまいます。これからの状況を見て、又、皆さんに紹介する様にします。

これからもこの様な話をしていきますので、ご興味のある方は、是非、フォロー、コメント、拡散をお願いします。又、このチャンネルを応援して頂ける方は、是非、メンバーシップもご検討下さい。では、又、次回、お会いしましょう。HaranoTimesがお届けしました。

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