中間選挙の為に「なりふり構わない」爺さん◆「人権」はどうなった?
※この写真は時事通信スカーフめぐり逮捕の女性死亡=各地で抗議、当局発砲の情報―イランに有りました写真「提供 逮捕された女性マフサ・アミニさんの死を報じるイランの新聞=18日、テヘラン(EPA時事)」をお借りしております。
バイデン政権、欧米各国がイランでの抗議活動の報道を控えている、なぜ?
Harano Times 2022/09/27
皆さん、こんにちは。過去1週間以上、イランで大規模な抗議活動が起きています。皆さんも既にどこかで、その報道を見ていると思います。
世界中のニュースは戦争や経済等の事ばっかりですので、イランの報道が埋もれてしまっていると感じている方も多いでしょう。しかし本当に、このニュースは埋もれてしまったのか?それとも欧米のメディアがワザと報道しない様にしているのか? その理由は何でしょうか?
今回の動画でイランでの抗議活動と欧米のメディアがあんまり報道しない理由についてお話をします。
イランの若い女性マフサ・アミニの名前は世界中で知られる様になりました。9月13日、イランの若い女子アミニはスカーフを適切に着用しなかったという理由で、イランの風紀警察に逮捕されました。
現場の動画から分かるのは、数名の男性警察官は彼女を暴力的に、無理矢理パトロールカーに押し込んで、連れて行きました。
風紀警察という言い方をあんまり聞いた事がない方も多いと思います。イランの風紀警察はイスラム原理主義が政権を握った後に生まれた独特な警察で、イスラム教の道徳に関するルールを守らせる為に行動し、女性を主要な管理ターゲットにしています。
彼女の家族が数時間後に警察に行った時、彼女が突然、気を失ってICUに送られた事を知りました。そして3日後の9月16日、彼女が亡くなりました。
彼女の死はイランの国民の怒りに火をつけました。彼女の故郷で、葬式に参加した人の多くは、式が終わっても、そこから離れず、その事に怒った女性はスカーフを取り、男性も抗議活動に参加しました。
彼女の故郷であるクルディスタン州での抗議活動が最も激しい抗議活動になり、私が原稿を書いている時点で既に複数名の死者が出ました。
そして現地でストライキも起きました。その抗議活動は直ぐに他の都市にまで拡大しました。テヘランには多くの大学がありますので、若者が多い街は抗議の中心になり、沢山の大学生が彼女の死因を調査する様にと抗議活動を行いました。
又、多くの人が外に出て、スカーフを燃やしたり、警察車両を破壊したりしました。
ネット上でイランの女性が顔出しでスカーフを燃やした動画、一人になってしまった若者が警察に殴られる動画、イランの最高宗教指導者ハマネイの画像を破壊し、火をつけた動画等が流れています。
今回の抗議活動は2018年イランの食品価格が高騰した後に起きた抗議活動、2019年ガソリン価格が高騰した後に起きた抗議活動以降に起きた最も規模が大きい抗議活動です。
今回イランで起きた抗議活動で宗教指導者の画像に火をつける事から、今回の抗議活動は、単純にその若者の為の抗議活動だけではなく、今のイラン政権に反対する抗議活動になっているのが分かります。
イランの国民が此処までくるまで時間が掛かりました。イランの国民が不満を感じている事の最も根本的な理由は「経済」です。
2000年代の初めにイランが核開発に手を出してから、国際社会から制裁を受け始めて、イランの経済が悪化し始めました。
イランの政権は「それは敵対勢力のせいだ。彼らはイラン人をターゲットにしている」とズッと主張しましたので、イランの国民は何とか耐えようとしました。
しかし2015年イランと欧米主要国が核合意を結んだ後、イランの国民は生活が改善される事を期待したが、1年経っても改善されず、その後、トランプ大統領がホワイトハウスに入って、核合意から脱退し、イランの経済が改善される見込みが消えてしまいました。
その状況で、卵の価格が2倍になった事が引き金になり、2019年のガソリン価格の上昇も引き金になりました。国民が怒りの矢先を政府の腐敗やイスラム革命が起きた後の閉鎖的な政策に向ける様になりました。
今回の若い女性が死亡した事もイランの国民の中で溜まっている不満が爆発する引き金になりました。
イラン人の不満の大元は経済問題とは言え、既に政権に矢先を向けていますので、いつか社会面で深刻な変革が起きない限り、もう鎮圧だけで、この問題が根本的に解決されない筈です。今回鎮圧されても、又、何かが引き金で問題が起きます。
勿論、経済問題以外、イスラム原理主義政権がイランで厳しい管理をしている事にも不満を感じている人が多いです。
イスラム国と言っても、アラブ諸国の様なイスラムと深く結びついている国もあり、イランの様な元々ペルシャ文明のベースがある国もありますので、風紀警察の許す範囲は国によって違います。
イランには元々ペルシャ文明があり、又、若者の中で外部の世界と接点がある人も多いので、安易に厳しい風紀警察を受け入れる事は難しいです。これも今回大きな抗議活動が起きた理由の1つです。
では、イランで大規模な抗議活動が起きた後、欧米の反応はどうでしょうか?今迄、中東の国で何か抗議活動が起きた時、欧米のメディア、特に左翼主流メディアは、それを大きく報道して、政府からも何らかの手段で圧力を掛けて、政権交代が起きる事が多かったです。
でも今回欧米の左翼メディアは、そこまで報道に力を入れていません。アメリカや他の欧州の国の政府も力強くイラン政権に圧力を掛けていません。それは何故でしょうか?
バイデン政権は、今、積極的にイランと核合意を再実施する様にイランと交渉しています。今迄流れている話では、合意する可能性が大きいとの事でした。
もし核合意を再実施出来れば、イランから大量の石油を調達する事が出来るので、それはアメリカのインフレを抑える事や欧州が直面しているエネルギー不足の問題の解決に繋がります。
バイデン政権はアメリカのガソリン価格を下げる為、欧州のエネルギー不足に対応する為、ズッと戦略石油備蓄を放出しています。7月時点で、戦略石油備蓄の量は1986年以来の最低の量に落ちました。
ウクライナ戦争が拡大する可能性があり、中共が台湾を攻撃する可能性もあります。
同時に欧州もエネルギー危機で、この冬は大変な状況に陥る可能性が高いです。こういう時にバイデン政権が愚かな政策を実施して、アメリカの石油産業を殺そうとしています。
そして中間選挙の為に石油価格をコントロールしないといけないので、備蓄を放出し続けないといけません。もし、この時に何か起きたら、アメリカの石油が足りるのか?それが大きな問題になります。
この状況でバイデン政権はイランと核合意を再実施して、イランから石油を貰い、欧米が直面している状況を何とかしようとしています。しかし、このタイミングでイランで予測もしなかった大規模な抗議活動が起きました。
もしバイデン政権がイラン政府に圧力を掛けて、左翼主流メディアが大きく報道すると、その抗議が更に広がり、でも政権交代が起きる事も簡単な事ではないので、数ヶ月、半年位掛かるかもしれません。
11月に中間選挙を控えているバイデン政権は、それ迄、待てません。又、抗議活動が行われて、結局、政権交代しなかったら、バイデン政権とイランの関係が悪くなって、イランがロシアに倒れて、石油価格が更に高騰する可能性があります。
政権交代したとしても、新しい政権がアメリカに協力するという保証がありません。つまりバイデン政権がこの問題でイラン政府を批判すると、完全に不利な状況に置かれてしまいます。
だからバイデン政権や欧米の主要国は、この問題でいつも主張している人権の事を捨てて、イラン政府にあんまり圧力を掛けない様にしています。イラン政府がこの抗議活動を早く鎮圧してくれる事を期待しています。
勿論、これは彼らが今採用しているやり方です。もし、この抗議活動が更に大きくなって、見過ごす事が出来なくなると、又、やり方を変える可能性があります。
バイデン政権の愚かな政策で、石油不足が起きて、それを解決する為に備蓄を放出するという愚かな政策を採っています。石油が無いせいで、色んな面で手足が縛られて、様々な制限を受けています。
今、イランで抗議活動が起きて、ロシア国内で動員令に依って、反対運動が起きている。そして中国ではコロナ・ゼロ政策で限界に来ている国民が色々反対し始めていますので、新しい「枢軸国」と言われているこの3つの国では政権の存続にも影響する可能性がある事が起きようとしています。
そして欧米の方では、行き過ぎた左翼政策で、経済や社会が破壊され、これから大きな危機が起きる可能性が益々大きくなっています。世界の混乱がこれからも暫く継続しそうです。これらの事がどう変わっていくのか、引き続き観察して皆さんに紹介していきます。
これからもこの様な話をしていきますので、ご興味のある方は、是非、フォロー、コメント、拡散をお願いします。又、このチャンネルを応援して頂ける方は、是非、メンバーシップもご検討下さい。では、又、次回、お会いしましょう。HaranoTimesがお届けしました。
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