結果は中間選挙後?アメリカの対中戦略今後の展開

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中国の半導体産業が崩壊危機、
国家戦略で”冷戦開始宣言”、
中国とどこまで冷戦できるのか?

Harano Times 2022/10/15


皆さん、こんにちは。アメリカと中国の対立は、後戻り出来ない所まで来ています。特に、これから習近平が再選される確率が上がっている中で、中国がこれからもっと閉鎖的な方向に向かい、欧米との対立がもっと深刻化する事も決まりつつあります。

今迄、何度も米中冷戦の話をしてきました。トランプ大統領がホワイトハウスに入って、貿易戦争を始めてから、米中は既に冷戦に入っていました。

しかしバイデン政権になってから、中国との対立が少し緩和した感じでした。しかし一昨日、バイデン政権は国家安全戦略を発表しました。この戦略は去年の年末頃に発表される予定でしたが、ウクライナ戦争が始まった為、発表が遅くなってしまいました。

この戦略を発表する前の記者会見で大統領補佐官になっているサリバンは「アメリカ政府が国家安全戦略で重視する2つの安全事項は、大国間の競争と、気候問題、食料問題、伝染病対策、テロ等の様な国際的なチャレンジである」と言って、米中間の競争の激化とウクライナ戦争の開始によって、アメリカはその2つの安全事項に対応する為の重要な十年間に入る。中国に勝つ為、アメリカには十年間の時間が残っている」と言いました。

この国家安全戦略の最も重要、且つ注目されている部分は、アメリカは中国に勝つ事を最重要事項にした事です。

サリバンは「ロシアがウクライナで行っている戦争や核兵器を使う事で脅している事は、バイデン政権の中国は最も重要なチャレンジであるという結論を変える事が出来ない」と言いました。

彼の話を分かり易く言うと、「ロシアが戦争しようが、核兵器を使うと言おうが、中国程、危険ではない」と言っています。

ではアメリカはどう、中国の脅威に対応するのか?彼が発表した3つの対策は

1. 自国に対する投資を強化し、アメリカの競争力を強化する事。この話を分かり易く言うと、サプライチェーンを再構築して、経済面での優位性を維持して、経済面で競争する事です。

2. 強い国家連盟を構築し、アメリカのグローバル戦略、世界の共通問題に対応する事等の面で影響力を強化すること。このポイントを分かり易く言うと、連盟の関係性を強化して、中国を孤立させて、アメリカの国際社会でのリーダーシップを強化維持する事です。

3. アメリカの軍隊を強化させて、戦略競争時代の為に準備をする事。このポイントを分かり易く言うと、これから軍備競争を始めて、将来起きる可能性のある戦争の為に準備をする事です。

この3つのポイントは、経済・政治・軍事の3つの面をカバーしています。そしてその安全戦略で中国とロシアについて、こう言いました。

「ロシアは自由な国際社会に対する現実的な脅威だが、中国は唯一の経済・外交・技術・軍事能力がある、又、国際秩序を変える意向がある競争相手であると決めました。」

つまり今ロシアと戦争しているが、将来を見据えた場合、中国こそがアメリカの本当の競争相手であると言っています。

今回発表された戦略は米中対立をもっと高いステージへ持ち上げる為のモノです。此処では明確に冷戦とは言っていませんが、実際は「冷戦宣言」と変わらないと見る事ができます。

では、今回発表された戦略は正しいのか?
残念ながら正しいです。何故、残念ながらと言うかと言うと、この戦略を出したのは左翼民主党であり、バイデン政権であるからです。

もしトランプ政権、若しくは他のまともな政権なら、これはとても正しい判断だと思いますが、今の左翼民主党が出したので、判断は正しくても、何処まで実践出来るかは疑問です。

ロシアはアメリカの最大の競争相手ではありません。アメリカの最大の競争相手だったソ連が崩壊した後、アメリカの競争相手が居なくなりました。

中国のこの20年間の成長と、中国の野心が強くなるにつれて、中共はアメリカの競争相手になりました。

余談ですが、競争相手が居なくなったからアメリカが内部で変な自己破壊の事をしていたかもしれません。

ロシアはソ連の国際地位を引き継いでいますが、経済面・軍事面ではアメリカの敵になる実力がありません。

しかし今迄アメリカはロシアを最大の敵だと考えて、ロシアと対立してきました。トランプ大統領はこの問題を正しく認識して、ロシア・サウジアラビア等の国と良好な関係を維持し、中国だけをターゲットにしました。

当時、プーチンは公開の場で「自分は米中競争に関与しない。隣で見てるだけ」と発言して、中共と距離を置いていました。この視点で見ると、今回発表された戦略は正しいです。中共こそが、アメリカと世界の最大の敵です。ロシアではありません。

しかしバイデン政権の杜撰な外交はロシアとの戦争に繋がってしまい、逆に中国とロシアの関係を強化させてしまいました。そしてサウジとの関係も悪化し、今、エネルギーの問題で苦労しています。

バイデン政権は自ら、自分の敵になる可能性がある人が連盟を組む様に促してしまいました。

今回発表された戦略では「ロシアは今存在する現実的な脅威である」つまり、「今戦争が起きているので、ロシアの対応をしないといけない。でも、重要なのは中国との長期戦である」と言っています。

中国と長期戦をする判断は正しいが、ロシアの現実的な脅威を軽視しているのも問題だと思います。ウクライナ戦争がこれからどの方向に向かうのかは未だハッキリ分からないので、ロシアの事を軽く見てはいけないと思います。

今の左翼民主党にはウクライナ戦争の良い落しどころを探して、平和的に戦争を終わらす政治能力が無いし、そういう希望もないので、戦争がもっと激化する可能性が高いです。

ロシアとの戦争が長期化して、下手な外交政策で敵を強くしていくと、ズッとロシアと揉める事になってしまいます。その状況で、本当に中国と長期戦が出来るのか?

当時、アメリカが中国を最大の敵だと考えていた時、911が起きて、アメリカが反テロの事に回ってしまい、中共もその流れに乗って、自らアメリカと反テロの問題で協力して、アメリカと関係を改善し、ついでにウイグル等で起きている問題をテロと認定して、鎮圧しました。それから中共は20年間を稼ぎました。

では、今のこのタイミングでアメリカがロシアとやり合う事は中共にとって、又、新しい機会になるのか?結論から言いますと、その可能性は低いです。

バイデン政権の運の良い所は、習近平が自ら自爆をしている事です。特に習近平は経済を崩壊させて、野心を表に出して、世界から嫌われていますので、バイデン政権がそこまで力を出さなくても、習近平は自爆してくれています。

これから習近平が完全に外交戦略を変えて、ロシアと関係を切って、アメリカに協力する立場に変わらなければ、911の時の様にアメリカと関係を改善する事が出来ません。

でも習近平が自爆してくれているとは言え、バイデン政権がロシアと揉めながら、サウジアラビアと関係を壊しながら、同時に中国と対立出来るのか?

そしてバイデン政権に掛かっている環境問題の呪縛がありますので、バイデン政権の環境政策は中国無しで成り立ちません。自分の政策を維持したいなら、この問題で中国の協力が必要です。そのバランスをどうするのかも大きな問題になります。

バイデン政権はアメリカには無限の力があると考え込み過ぎです。バイデン政権がどこまで出来るのか?これからも見る必要があります。

今回のこの戦略の一部として、先週、バイデン政権は中国に制裁を掛けました。アメリカは中国の半導体産業に更なる厳しい制裁を掛けました。今回、アメリカが出した制裁措置は米ソ冷戦以来、最も広範囲で厳しい制裁であると言われています。

この事が報道されたのは先週ですが、正式に有効になったのは10月12日で、既にその影響も出ていますので、動画の最後で、その件を簡単に紹介します。

制裁の内容には技術的な話が多いので、詳しくお話をしません。分かり易くシンプルに言うと、中国にアメリカの設備、技術等を使ったハイエンドのチップ、製造設備等を提供してはいけない。

そして今迄無かった制裁は、アメリカ人、アメリカの永住権を取得した人、アメリカで居住している人は、中国の為に関連の技術のサポートをしてはいけないと決めました。

皆さんがご存知のオランダにある半導体製造機械を製造しているASMLの機械はハイエンド半導体製造機械の百%のシェアを占めています。そして彼らが作っている機械に大量のアメリカの技術が使われていますので、これで、中国はそのメーカーから先進な機械の輸入が出来なくなります。

そして人材に対する制限は12日から始まったので、中国の多くの半導体関連企業の上層部が即時辞任したニュースがかなり出ています。

中国の多くの半導体関連企業の上層部はアメリカで技術を勉強して、中国で起業したり、就職しています。そして彼らの多くはアメリカの永住権を持っていますので、今回、中国は大きなダメージを受けました。

技術が無い、設備が無い、人材が無いと中国の半導体産業は、これから凋落する可能性が高いです。

中国が半導体を使わない何か新しい道を開かない限り、数年で置いていかれてしまいます。では、中国が新しい道を造れるのか?共産党が今のやり方を継続する限り、それは難しいです。

中国人は賢いです。しかし彼らには今「自由な環境」「色々試す環境」が無いので、その状況で全く新しい道を開く事は、そう簡単な事ではありません。

当時、ソ連が競争で負けた1つの理由は、アメリカとソ連が完全に違う技術の道を進んだからです。

バイデンがホワイトハウスに入った後、バイデンがアメリカを中国に売ると予想されていました。その理由は簡単です。バイデンファミリーは中国から大量の利益を手に入れていましたし、2020年の選挙でも中共が不正に関与した可能性が存在するので、中国に弱みを握られているバイデンは中国との関係をやり直すと思われていました。

その時、このチャンネルでバイデン家族は中国とズブズブな関係があったとしても、彼1人、若しくはバイデン政権がアメリカを完全に中国に売る事が出来ない。特に科学技術等の面で対立を継続する可能性が高いという話をしました。

何故なら、科学技術はアメリカにとってとても重要な物で、そう簡単に他の国、特に対立している国に譲れないからです。バイデンがやりたくても、それを制限する人や組織が存在します。

バイデンがホワイトハウスに入ってから、トランプ大統領時代から残った制裁を継続しました。では、効果はどうだったのか?正直、そこまで良くありませんでした。

去年、制裁リストに入っている企業に向けての輸出申請の88%が許可されました。つまり約9割は許可されていましたので、10%しか制裁する事が出来ませんでした。

新しい事だから、商務省が慣れていなくて、いっぱい許可を出してしまったのか?それとも最初から厳しく取り組んでいなかったのか?どちらの可能性もありますが、厳しい制限をしなかったと思います。

ファーウェイが制裁を受けた後、大金を掛けてアメリカでロビー活動をした事が報道されました。民主党ですので、やはりこの面では緩い面があります。でも、いつまでも、それを継続する事が出来ません。

何故なら、共和党や一部の民主党議員も、その緩いやり方に反対しているからです。

国内経済がガタガタになって経済危機に陥る寸前になり、異常なインフレで国民の生活が大変な事になっている。外交ではロシアと終わりが見えない戦争をしており、もう良い成果が全くありません。

この時、もしバイデン政権が中共に弱みを見せていると指摘されると、更に批判が強まります。そして共和党、民主党が、今、数少ない違憲が合致するポイントは反中共ですので、制裁をしながら実行しない事は簡単に許されません。

今回商務省が制裁案を公開した後、申請は原則許可しないと決めました。こうなると、緩くやったとしても、去年より厳しくなる見込みです。正直、個人的にこの様な法案が出ると、今の民主党政権では直ぐに効果を発揮しない可能性が大きいと考えています。

勿論、民主党のイメージを挽回する為に、この件でより厳しい対応をするかもしれませんが、それは今の所は何とも言えません。

私が期待する事は、制裁が決められた後、中間選挙が終わって、共和党が国会での席を増やした後、若しくは、次の共和党籍の大統領がホワイトハウスに入った後、この既存の制裁がより厳しく実行される可能性が高くなる事です。

制裁が1回出されると、民主党のホワイトハウスでも簡単に取り消す事が出来ません。何故なら、制裁を取り消す為に、先ず、その理由を説明して、今迄の効果や実績等を説明しないといけないからです。

そこで嘘をつくと、又、批判されますので、1回制裁を実施すると、なかなか簡単に取り消せません。その侭、次の政権に引き継がれます。

だから今回の制裁が実施された事は、正しい判断だと思いますが、本当の結果を見るには、中間選挙後、若しくは次の政権になると思います。

世界は今起きている戦争に直面しているだけではなく、これから大国間の対立が激化する事を経験しますので、益々、状況が不安定になっていきます。引き続き観察して、皆さんに紹介していきます。

これからもこの様な話をしていきますので、ご興味のある方は、是非、フォロー、コメント、拡散をお願いします。又、このチャンネルを応援して頂ける方は、是非、メンバーシップもご検討下さい。では、又、次回、お会いしましょう。HaranoTimesがお届けしました。

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